ハードル ゆず&青木和雄対談
             
「ハードル」主題歌(『なにもない』)を歌う人気デュオ
               ゆずと、原作者青木和雄氏が対談しました。
               神奈川新聞の企画。
               若者ふたりと青木先生が「教育」について語る!

<神奈川新聞 2004年2月16日付13,14面より抜粋>

 ゆずの二人が、横浜にゆかりのある人々と対談し、ふるさと・ヨコハマを大解剖する企画特集「ゆずが行く」。その第8回ゲストは、教育カウンセラーで、児童文学のベストセラー作家でもある青木和雄さんです。青木さんは、北川君と同じ横浜高校の出身。長年のカウンセラー経験を元に、いじめに巻き込まれた少年の姿を描いた児童文学書「ハードル 真実と勇気の間で」(金の星社)がアニメ映画化され、来月27日、横浜・関内ホールで封切りとなります。そしてその主題歌にゆずの「何もない」が選ばれ、初のコラボレーションが実現。そんな三人が初めて顔をあわせた今回の対談では、教育論について熱く語る内容となりました。

・・・・・・・・・(中略)
北川 青木さんは、教師を引退された後、教育カウンセラーとして子どもたちの相談にのっているんですよね。

青木 そうなんです。ひとつの例ですが、小学6年生の息子が万引きをしたという母親から電話相談がありましてね。受験を控えているので、どうしたら事件の動揺を最小限に抑えられるか方法を教えてくれと言うんです。母親は、息子が万引きしたと言う事実には関心も痛みも感じていなくて、受験のことばかり考えているんですよ。それはちょっと違うんじゃない?って思いましたよね。

北川 その母親にとっては、それが当たり前の価値観になっちゃっているんでしょうね。

青木 その通り!さすが、いいことをおっしゃる(笑)。この子は、このままだと万引きをしたことが心の傷になってしまう。ちゃんと「万引きは悪いことだ」と本人が納得するまで話さないといけないんです。それで、母親に息子さんと電話を変わってほしいとお願いしたら、すぐに切られちゃってね。この子はどうしただろうって、今でも心配です。それが「ハードル」を書くきっかけになったんです。

北川 ちょっとケースは違いますけど、ニュースでは母親が自分の子どものいじめに加わっていたと言うのを見ました。アイスピックで足を刺したりしていたそうです。

青木 本当に許せないよ。

北川 子ども同士では、いつの時代でもいじめはあると思うんです。子どもってストレートだし、残酷な部分もありますからね。

青木 その通りだね。

北川 だからこそ、大事なの親とか周囲の大人の対応だと思うんですよ。それなのに、親までいじめに加わっているなんて。・・(中略)・・・こうなると子どもたちは一体、どこに帰ればいいか、憤りを感じます。

青木 いじめに関して言えば、よく「いじめられる子にも問題がある」と言う論理が出てくるけど、それは違う。「もっとやれ」とあおったり、見て見ぬふりをしたり、無関心でいたりという、そうした周りの子どもたちこそ問題だと思う。親や周囲の大人たちの姿勢をそのままに映しているような気がするね。

・・・・・(中略)
岩沢 教師のころはどうでしたか?

青木 当時は「教えてやろう」という意識のほうが強くて、このことが分からなかったね。でも、それは大人の傲慢なんだよね。だから今は、大人たちに「子どもたちの心の声を聞こうよ」っていい続けています。大人サイドに立っていては、子どもの心の声は聞こえない。子どものスタンスに立つことが大事だと思います。

ゆず 素晴らしい!

北川 でも、気をつけなきゃいけないのは、子どものスタンスに立つのと、子どもに迎合するのとは違うということですよね。・・・・・・・僕ら大人は、子どもじゃないんですから、子どもの知らないことも知っているわけですよ。子どもたちとは違う立場で言うことは言わないと。だから、僕はいい意味での「縦」の関係は必要だと思うんです。
・・・・(中略)

青木 今の若者の多くは、やりたいことがなかなか見つからないで苦しんでいるよね。本当なら、学生時代に見つかるといいんだけどね。

北川 そうですね。僕も音楽をやろうと思うまでは、本当に悶々としていましたよ。

青木 そうなんだよ!まさにみんな悶々としているんだよ。でも、そういうプロセスも大切だね。一人でも多くの若者が、ゆずのように、やりたいことを見つけて、将来に明るい希望を持ってくれるといいんだけどね。それじゃ、最後になるけど、今年はどんな年にしたいですか?

岩沢 ツアーが6月から始まるんで、今は作曲したりして準備をしているところなんですけど、まずはツアーに向けて全力投球したいですね。昨年は充実した終わり方ができたので、今年もそうなるようにがんばりたいですね。

北川 僕は「当たり前」に陥らず、妥協しない1年にしたいですね。プロとして、できることを精一杯やっていきたいと思います。

青木 いいね〜!そうなんだよね。プロ意識を忘れちゃいけない。私も子どもたちが安心して成長できる社会を目指して活動を続けていくつもりですよ。ゆずの二人と私とでは立場がぜんぜん違いますけど、「僕らが支えるから、一緒に生きていこうよ」っていう、子どもたちへのメッセージは共通していると、今回の対談を通して実感しました。これからも子どもたちの「生きる力」になるような歌をどんどん作ってほしいです。そして同時に、大人たちへのメッセージも発信していってほしいと思います。

ゆず 今日はどうもありがとうございました!           (敬称略)